九谷焼は、石川県の伝統工芸として全国に知られています。RINTORINの九谷焼シリーズでは、県内の若手作家3人が「自転車」をモチーフに、オリジナルの図柄を考案しました。それぞれの作家の思いが一つ一つの作品に込められており、生活にちょっとした彩りを添えてくれます。

使いやすくて面白い作品を 北尾正治・マキ氏

北尾さんご夫妻が陶芸の拠点にしているのは、金沢市でもタケノコの里として知られる里山です。いろんな動植物との出合いは発展途上の作風に影響を与えており、マキさんは「常に変化しながらベストのスタイルを模索しています」と話します。二人が価値観を共有することで、新しい作品が生み出されていく。こんなプラスのサイクルが回っており、「使い勝手と面白さのバランスが取れた作品を提供したいですね」とは正治さん。二人の作品は、手にした人をワクワクさせます。例えば、花にもオリジナル性があり、かわいいと評判を呼んでいます。現在は、河原で拾った石で器に凸凹をつけた器に挑戦するなど、二人の進化は続きます。

PROFILE 金沢市生まれ。石川県立九谷焼技術研修所卒業。2014年11月:石川県九谷焼技術者自立支援工房に入所。2015年:ギャラリー日暮らしにて初個展。2015~2017年:松屋銀座 金沢からお正月、日本のかたち。2016~2018年:デザイン支援事業 しいのき迎賓館にて成果品展。2017年:金沢市別所町に工房を構え制作をはじめる。


器の中で語られるストーリー 川合孝知

川合さんが作業場で器に筆を走らせると、その場は緊張感に包まれます。細やかなタッチから生み出される作品には、キュートなデザインが施されていきます。川合さんは、130年の歴史を持つ窯元の上出長右衛門窯に10年間勤め、2006年に独立を果たしました。作品は、明るく優しい色彩が特徴で、女性から支持されています。「一つの器の中にはいろんなストーリーを盛り込んでいます。買った人がそれぞれに解釈して楽しんでもらえればうれしいですね」と笑顔を見せます。一本の線にも性格が表れるという川合さん。これからも自分を飾ることなく自然体で、使う人の気持ちを忘れずに、作陶に真剣に向き合っていきます。

PROFILE 静岡市出身、1998年:上出長右衛門に勤める。2006年:石川県立九谷焼技術者自立支援工房にて制作を始める。2012年:九谷焼加飾部門 伝統工芸士認定。随時、全国各地で個展を開催。


ユーモアを感じる藍と白の食器 川上真子

藍と白のコントラストが目を引く飽きのこないシンプルで美しい器は、染付(そめつけ)という技法で作られています。川上さんが生み出す作品の絵柄は精緻で、細やかな筆づかいが特徴です。川上さんは「100円で食器が買える時代に、手描きの食器を選んでもらうには、楽しんで使ってもらえるものでなければならないと思います」と力を込めます。九谷焼の第一人者である山本長左さんの窯で4年間修行。独立した現在は、食器を中心に独自の図柄とは何かを追い求めており、「伝統的な図柄をベースにしながら、タコやカレイなどユーモアを交えた食器を世に送り出したいです」と意気込みます。

PROFILE 神奈川県出身。2012年:山本長左氏に師事。2016年:独立。2017年:伊勢丹相模原店、福岡 岩田屋本店にて個展 http://blog.livedoor.jp/tokeruutsuwa/

「RINTORIN」の加賀友禅手ぬぐいのカラーは3種類。自転車と加賀藩時代の町民イメージを融合し、加賀藩の紋である梅鉢のデザインをあしらいました。当商品は加賀友禅に従事している金沢の工房「桔梗工房」にて、友禅調に表現し制作しています。

伝統超えた新しいチャレンジを 桔梗工房 岡本幸治氏

桔梗工房 岡本幸治氏 染めの世界に入って50年。岡本さんの目の前にある真っ白な生地が、色とりどりに染め上げられていきます。京都で伊勢型紙の型染め技法を学び、金沢に戻ってから加賀友禅の手描きの染めを修得。岡本さんは「さまざまな染めの手法を融合させることで、新しい加賀友禅の色彩が見えてきました」と目を輝かせます。加賀友禅と言えば、着物の華やかさに目が奪われがちですが、岡本さんはさまざまなアイテムを考案しています。手ぬぐいはもちろん、アロハシャツやスマートフォン用カバーなど新商品開発に余念がありません。「新しいことに挑戦しなければ面白くないでしょ。ここからがスタートです」と意欲は尽きないようです。

PROFILE 金沢市生まれ。1960年:京都で染色を学ぶ。1970年:岡本染工を継ぐ。1978年:加賀友禅いろどり会通産局長賞受賞。1979年:桔梗工房主宰。1979年、1981年、2000年:全染連競技会で特別賞受賞 http://kikyouko.com

金沢の4つの特徴的な風景をイメージしたバッジです。お茶屋の格子、町家の屋根の黒瓦、金沢城の石垣、金沢市内を流れる犀川と浅野川をそれぞれ表現しています。このバッジと同じ風景を金沢を観光しながら探してみてください。

お客様の思い出がよみがえる 桂 記章株式会社 澤田幸宏氏

桂 記章株式会社 澤田幸宏氏 桂記章は、バッジやメダル、社章などで国内シェア30%を誇ります。また、原型からメッキまで一貫生産する全国唯一の企業であり、ハンドメイドによるものづくりにもこだわります。同社のモットーは“お客様の思いを形にする”こと。社長の澤田幸宏さんは「バッジやキーホルダーが、旅行の思い出がよみがえる『記憶のキー』になってくれればうれしい」と話します。金沢マラソンのメダルや各種団体の勲章などの品質には自信があります。最近では、女性チームが商品化した「加賀手まり飾りゴム」が、全国のおみやげグランプリ2017で奨励賞を受賞するなど、社内に新しい風が吹いています。

PROFILE 代表者 澤田幸宏
創 業 1948年3月
資本金 4,200万円
従業員数 55人 http://katsurakisyo.com